近年全国的に、伝統的な茅葺(かやぶき)の建物を造ったり直したりする茅葺職人さんが不足ぎみなのをご存じでしょうか。このため、復元建物の数では全国第2位(!)のむきばんだ史跡公園の茅葺竪穴住居を利用して、職人さんたちが茅葺きの技術を学べる講習会を企画しました。今回は、山陰地方の工務店に勤める職人さんを中心に、14名の受講生が集まりました。
講師は、全国でも珍しい茅葺屋根の工事を専門とする美山(みやま)茅葺株式会社(京都府)の中野代表取締役会長さんです。中野さんは、ヨーロッパに多くの茅葺き屋根の建物が存在し、それらが地元で誇りを持って大切に守られ続けていることに衝撃を受け、この世界に入られた方。今回の講習会でも、竪穴住居の痛んだ(壊れた)箇所の状態をつぶさに観察して、実演を交えながら最適な修理方法を教えてくださいました。参加した受講生も積極的に取り組み、当初予定より多い2棟の竪穴住居を修理することが出来ました!
建物の修理以外にも、茅葺き作業で役立つ紐の結び方や、苫葺(とまぶき)の編み方なども伝授していただきました。これらの技術は、今後のむきばんだ史跡公園での復元建物修繕に非常に役に立つこと間違いなし。
むきばんだ史跡公園にお越しになった際には、竪穴住居の中に入って弥生人の気分を味わっていただくとともに、建物を覆う屋根にもぜひ注目してみてくださいね。
画像1 茅束を刺し入れて、屋根を補強していきます
画像2 苫葺きのレッスンを行う中野先生