鳥取県立 むきばんだ史跡公園

弥生時代の太型蛤刃石斧(復原品)で伐採実験しました

2024.11.23

 現在、むきばんだ史跡公園では発掘調査を行っています。この調査区のすぐ近くに折れた木があり、発掘担当者の「O」文化財主事から撤去の依頼がありました。 

支障木の状況

支障木の状況  

伐採斧

伐採斧

 「O」文化財主事の依頼であるため、断るわけにはいきません。早速撤去することにしました。使用する道具は、弥生時代の伐採斧「太型蛤刃石斧(ふとがたはまぐりばせきふ)」の復元品、実験を兼ねて伐採を行うことにしました。

 午後1時25分、伐採を開始しました。最初は疲れていないため、力いっぱい斧をふるい作業を進めていきました。10分もすると1/8ほど削れ、これはいける!と手ごたえを感じました。さらに斧をふるい続けること15分(途中疲れたので、「M」文化財主事や「O」文化財主事にも手伝ってもらいました)、1/3まで削ることができました。

10分後の様子

10分後の様子

25分後の様子

25分後の様子       

 作業場所は山の斜面で結構足場が悪いため、体力的に疲れるのはもちろん、腰にダメージが蓄積されていき、交代しつつ休憩を取りながら行っていきました。作業開始から1時間ほど経過すると、あと少しというところまできました。

 ところが、斧をふるうのですがなかなか刃が入っていかない。斧をふるうことで木が「く」の字形にえぐれていき、蛤刃石斧の刃先が木に対して直角に当たることになり、刃が入りにくい状態になっていたのです。そのため、一カ所でなくほかの箇所にも斧を当てていき切っていくことにしました。90分後、ようやく木が倒れる寸前の状態まで切ることができました。

刃の当たり方

刃の当たり方  

90分後の様子

90分後の様子       

 今回、伐採の対象とした木は、幹の径が15㎝程度のもので、弥生時代の竪穴住居跡の柱としては若干細いものでした。今回の伐採実験をとおして、弥生人たちが竪穴住居を建てるのにはかなりの労力を使ったのだろうということを改めてすることができました。
 むきばんだ史跡公園の中にある森には、倒れそうな危険な木や枯れた木がまだまだあります。今後、こうした木の撤去をする際、伐採実験していこうと考えています。