青谷かみじち史跡公園には水田があり、そこを借りて田おこしの実験をしました。
今回の実験は、弥生時代の人々が田おこしするのに、どれほどの労力を必要としたのか調べるために行いました。
対象とした水田は1区画(約2.5×2.5m)、使用した道具は復元した鋤です。この水田1区画を復元した鋤を使って田おこしするに必要な時間を計測しました。なお、比較検討するために、別の1区画で復元した鍬、現代の剣先スコップによる田おこしも行いました。
水田の土は、水分をある程度含み比較的柔らかい状態で、木製の鋤でも容易に掘ることが可能であり、地表面から10cmほどは難なく掘り起こすことができました。稲株のところは根を掘り起こす感じで取り除くことができたのですが、比較的背の高い草が生えているところや稲が刈り倒されているところは、茎によって鋤の先が弾かれてしまい、結構苦労しました。作業開始が午後1時32分であり、作業終了が午後3時4分と、約1時間30分かけてようやく1面の田おこしができました。
地表面から10cm程度の土は柔らかく掘りやすい。それ以下は固く締まっていっため、これ以上は掘り下げなかった。
ここで、1反当たりの作業時間を考えてみることにしましょう。1反は991.736m2なので、1区画(6.25m2)当たり1.5時間かかったことを考慮すると、(991.736m2÷6.25m2)×1.5時間=238.01664時間となり、1日当たりの労働時間を仮に8時間とすると、およそ1か月(30日間)かかることが想定されます。結構大変だということが分かりますよね。
話は戻りますが、復原した木製の鍬でも試してみました。木製の鍬は鋤に比べて掘り下げる深さは浅く、5cm程度でした。1辺ほど掘ってみたところ、作業時間は鋤とそれほど変わりありませんでした。ただ個人的には、重量があるため鋤に比べて大変でした。残りについては、剣先スコップを使って掘ってみたところ、30分ほど(およそ3分の1の時間)で終わってしまいました。鉄の力って偉大だなぁ…、と改めて鉄のすごさを感じました。
今後は稲を植えて、どれほど収穫できるのか調べてみたいと思います。